開発技術名
「大納言小豆の硬実発生要因と低減技術」
技術開発の経緯
兵庫県では市場評価の高い大納言小豆が多く栽培されている。大納言小豆は他の小豆に比べて吸水困難な豆(硬実)が多く発生する傾向があり、硬実が含まれると煮えむらが生じるため加工上問題となる。県内産地では、従来、生産物販売が主であったため、大納言小豆の加工適性の知見が少なく、硬実発生状況やその要因についても不明な点が多い。また、地域特産小豆を用いた6次産業化が活発となる中、生産現場において硬実の発生とその対策が課題となっている。
そこで、兵庫県産大納言小豆の硬実発生状況を把握し、硬実の発生要因について検討するとともに大納言小豆の硬実低減技術の開発に取り組んだ。
開発技術の内容
ア 大納言小豆の硬実発生要因について、硬実程度と登熟期の気象条件(平均気温、降水量)との間に正の相関がある。また、粒が小さく、子実長が短い形状の子実が硬実となりやすい。
イ 大納言小豆の硬実を低減する加工技術について、加熱前処理として打撃処理した後に煮熟加熱する方法が効果的である。硬実の割合が高い小豆(硬実率28%)を加工する場合、煮熟加熱後の硬実率は21%と高いままであるが、打撃処理を加えることで硬実率(煮熟加熱後)を3%に低減できる。打撃処理は、小豆を容器に入れて50回軽く撹拌し、物理的衝撃を加える処理とする。軽度の物理的な衝撃を子実に加えることで、大納言小豆の吸水性が向上する。
期待する効果
大納言小豆の硬実低減技術は、加工上の問題である煮えむらを防止できるだけでなく、種子の発芽率向上にも有効である。小豆硬実の多発が予想される気象条件(登熟期の気温が高く降水量が多い)の年には、硬実発生状況に注意するとともに、硬実低減技術の活用を図る。
連絡先
北部農業技術センター農業・加工流通部 079-674-1230 (作成者:廣田 智子)