開発技術名

「災害緩衝林整備手法の提案」

 

技術開発の経緯

 近年、ゲリラ豪雨による沢筋の崩壊被害が増加し、渓流沿いの立木を巻き込み大きな被害となっている。
一方で、スギやケヤキの立木が流下してきた土石や流木を止め、被害を減じている現象も確認されており、森林の持つ災害緩衝能力について注目されている。
これらのことから、森林の災害緩衝能力を生かした災害緩衝林を整備することで、山地災害を減じる方法を検討した。

 

開発技術の内容

 県内の沢筋の森林(渓畔林)を構成しているスギ林を、災害緩衝林として整備する方法は以下のとおりである。

ア 整備予定地に標準地(10m×10m)を設定し、標準地の毎木調査を行い、胸高直径、樹冠長率(全高に対する樹冠部の高さの比率)、収量比数(標準密度を1としたときの密度比)を明らかにする。
イ 標準地の立木の平均胸高直径が30cm以上の場合は、整備予定地の立木は災害緩衝林としての機能を十分発揮するため、強度間伐を行わず、収量比数0.5~0.7程度の軽度の間伐のみとする。
ウ 平均胸高直径が30cm未満の場合は、樹冠長率が20%未満となる林分では、間伐後の直径回復が見込めないことから、皆伐して改植する。樹冠長率20%以上では、直径成長が見込めることから収量比数0.5程度になるよう強度間伐を行う。但し、伐採率は本数伐採率50%以下とする。
エ 間伐後の林内相対照度が30%以上であれば、ケヤキなど比較的耐陰性が高い樹種を植栽できる。ケヤキは災害に強く、次世代の災害緩衝林候補木となる。

 

期待する効果

 流木・土石流災害を軽減させることにより、災害に強い農山漁村づくりに貢献できる。

 

連絡先

 森林林業技術センター森林活用部 0790-62-2118 (作成者:藤堂千景)