開発技術名
「視覚コントラストの付加による色彩トラップのネギアザミウマ誘引性能の向上」
技術開発の経緯
ネギアザミウマは近年多発生が続いているが、効果の高い薬剤が少なく、また薬剤多用による抵抗性発達の懸念から薬剤防除が困難な状態にある。そこで、環境への負荷軽減にも配慮して物理的防除資材である色彩トラップの誘引性能の改良に取り組んだ。
開発技術の内容
ア 単一色の色彩トラップに視覚的コントラストを演出する縁(ふち)を付けると、誘引昆虫にとって色彩トラップの視認性が高くなり、単一色を単体で使用する場合よりネギアザミウマの誘引性能が向上する。
イ ネギアザミウマに対する青色、黄色の単一色トラップの誘引性能は同等であるが、市販の単一色トラップ(青、黄色:10×25cm)の左右に幅5cmの縁(白、黒色)を付加することにより単体使用と比較して、青色+白色縁でネギアザミウマ捕獲数は1.9倍、青色+黒色縁では1.3倍多くなる。また、黄色+白色縁では6倍、黄色+黒色縁では3.4倍多くなる。
ウ 以上より、これらの組み合わせの中では、黄色に白色の縁を付加したトラップが最も捕獲性能が高い。
期待する効果
ア 市販されている色彩トラップに対して縁部分を付加することで、防除効果の向上が期待できる。
イ 縁を付加した色彩トラップは誘引性能が設置環境(背景)に影響されにくくなるので、発生予察等で安定した誘引性能が求められる場面での利用にも適している。
連絡先
農業技術センター病害虫部 0790-47-1222 (作成者:八瀬順也)