開発技術名
海面養殖用ニジマス(ローカルサーモン)種苗早期生産手法
技術開発の経緯
現在、県内におけるニジマスの海面養殖(ローカルサーモン)では、その種苗を県外産に頼っている。当地での海面養殖用種苗は500g以上の個体が求められており、その種苗を生産するには、通常2年の飼育期間が必要になる。また、他県産の種苗を用いた養殖では、種苗の安定供給にも課題がある。このため、短期間で成長する養殖用種苗の県内確保と、生産コストの削減が強く望まれている。
開発技術の内容
閉鎖循環飼育システムを用い、以下の手法で採卵から1年で500g以上の海面養殖用ニジマス種苗を得る。
ア 河川水で飼育された県内ニジマス親魚から秋季に採卵し、その後発眼卵を閉鎖循環システム内に移しふ化、餌付終了まで10℃程度の水温で管理する。
イ 餌付終了後は、水温を1日に1℃程度徐々に上げ、15~17℃の水温で飼育する。
ウ 給餌は毎日配合飼料を与え、給餌量はライトリッツの給餌率表に従い、週に一度1.05を乗じて補正するとともに月に1~2回の体重測定により更に補正する。
エ 出荷までに5回程度選別し、大型個体を残す。この際、使用する水槽の大きさに見合った飼育密度となるように調整する。総魚体重(kg)/水槽水量(L)は、エア注入飼育の場合で0.01以下が望ましい。それ以上では酸素注入をし、溶存酸素量が8mg/L以上になるように調整する。
オ 出荷魚の海水馴致は、1/3海水で2~3日、その後海水の微量注水で海水濃度を上げ、1/2海水で5日程度、3/4海水で10日程度飼育し、全海水へ移行する。特に3/4海水から全海水に移行する際は魚が弱りやすいため、極微注水または段階的に海水濃度を上げて4~7日程度かけて移行する必要がある。
期待する効果
閉鎖循環飼育システムで養殖用種苗を生産することにより、県内産海面養殖ニジマス(ローカルサーモン)を生産できる。安定した種苗の供給が期待できるとともに、更に付加価値をつけたブランド化が進み、兵庫県産サーモンの発展に寄与できる。