開発技術名
乳牛における国内ゲノミック評価値と海外ゲノミック評価値の相関性
技術開発の経緯
近年、一塩基多型情報(SNPs)と能力との関係を活用した遺伝評価(ゲノミック評価)が広がりつつあるが、国内の成績を元にしたゲノミック評価は牛群検定参加農家のみを対象としており、検定に加入していない酪農家は利用できない。一方、海外(北米)の成績を元にしたゲノミック評価はすべての酪農家が利用できるが、日本とは異なる飼養環境下で得られた評価のため、国内で飼養する乳牛でも同様に評価ができるかは十分に検証されていない。
開発技術の内容
ア 生産性に直結する「産乳成績」・「体細胞スコア」および「繁殖性」は、いずれも国内と海外のゲノミック評価値に強い相関がある(8回の評価タイミングの平均値でr>0.7)。
イ 体型においては、得点形質(体型総合、肢蹄、乳器)の相関は中程度(r=0.69, 0.54, 0.46)である。
ウ 骨格構造に関する形質(高さ、尻角度等)には強い相関がある(r>0.7)。
エ 搾乳性やロボット搾乳への適応性に関連する体型形質では中程度~強い相関がある。
(乳房の深さ、前乳頭の配置、後乳頭の配置、乳頭の長さでそれぞれr=0.83, 0.67, 0.83, 0.85)
期待する効果
国内と海外のいずれのゲノミック評価を利用しても生産性や骨格構造に関する形質の改良に同等の効果が期待される。検定未加入の農家も含めゲノミック評価を利用することで、県内酪農家の「乳量」・「乳質」等生乳の生産性向上につなげることができる。