開発技術名
胃内留置型温度計による搾乳牛の暑熱ストレスの判定
技術開発の経緯
スマート機器の一つに胃内留置型の温度計(胃温計)があるが、乳牛における胃内温度(胃温)データの利用は分娩の予測などの一部分にとどまっている。近年の地球温暖化の影響により、夏季における乳牛の生産性と繁殖性の低下が問題となっており、簡易な暑熱ストレスのモニタリング手法が求められている。
開発技術の内容
ア 牛舎の日平均気温が20℃以上の条件において、日平均気温と搾乳牛の日平均胃温の間に強い相関が認められる(r=0.71)。
イ 夏季の平均胃温の高低で牛を2グループに分類すると、夏季に胃温が高いグループは低いグループに比べて乳量の減少幅が大きい。
ウ 搾乳牛の日平均胃温が39.2℃未満の条件において、日平均胃温と14時の直腸温および呼吸数との相関性は小さい(r=0.149,0.310)が、日平均胃温が39.2℃以上の条件においては直腸温とは強い相関が、呼吸数とは中程度の相関が認められる(r=0.781,0.647)。
以上より、胃温は暑熱ストレスの指標として活用が可能であり、日平均胃温が39.2℃を上回る牛は暑熱ストレスの程度に特に注意が必要である。
期待する効果
胃温計を利用する酪農家において、暑熱ストレスを受けている牛を早期に発見し、対策を講じることで、夏季における生産性の低下を抑制できる。