開発技術名
ウルソデオキシコール酸製剤の定期投与による発育向上
技術開発の経緯
ウルソデオキシコール酸(以下ウルソ)には、肝血流量増加作用による肝臓の代謝機能向上、リパーゼの活性化による脂肪の消化促進などの効用がある。また、血中の肝機能指標と肥育中期の一日平均増体量に負の相関が、肥育中期の一日平均増体量と枝肉脂肪のモノ不飽和脂肪酸(MUFA)割合には正の相関が認められている。そこで、濃厚飼料の増給および血中ビタミンA濃度の低下により肝臓への負荷が高まる肥育中期において、ウルソを定期投与することにより、発育および枝肉脂肪のMUFA割合の向上を検討する。
開発技術の内容
ア ウルソ中期区は、肥育中期(15~22か月齢)において、2週間ごとにウルソ5%製剤を日量50g、3日間連続経口投与する。
イ 18~22か月齢では、ウルソ中期区は対照区に比べ、濃厚飼料摂取量が平均1.2kg(乾物)多くなる。
ウ 枝肉では、ウルソ中期区は対照区に比べ、MUFA割合には差がみられないが、バラ厚で1cm、ロース芯面積で10cm2大きくなる。
エ 肥育現場で本技術を活用する場合、枝肉成績向上による枝肉販売額向上分から濃厚飼料摂取量の増加による飼料費およびウルソ代(本研究ではそれぞれ約2.6万円/頭と約1.3万円/頭)のコスト増加分を差し引いた分が、収益向上になる。
期待する効果
生産現場における飼養管理技術の向上が期待できる。