開発技術名

 

 コシヒカリ、キヌヒカリ、ヒノヒカリにおけるドローンセンシングを活用した生育量推定と追肥判定手法の開発

 

技術開発の経緯 

 

 農業従事者の減少や高齢化を背景に、担い手への農地集積・集約化が進められている中、規模拡大に伴う労働力不足等が顕在化しつつあり、画一的な栽培管理による生産性低下が懸念されている。  

 兵庫県の農業産出額に占める米の割合は26%と全国平均(16%)よりも高く、水稲は基幹作物として位置付けられており、担い手を中心に多筆・分散化傾向の水稲栽培圃場の生育状況を効率的かつ省力的に把握する手法として、ドローンセンシングの活用が期待されている。

 一方、ドローンセンシングによる空撮画像の解析手法は標準化されておらず、生育診断手法も確立できているとはいえない状況であることから、現場において実用性の高い解析手法の確立とともに、生育診断に基づく施肥体系の確立が求められている。

 そこで、水稲主要3品種(コシヒカリ、キヌヒカリ、ヒノヒカリ)を対象に、マルチスペクトルカメラと一体型のドローン(P4 MultispectralDJI製))を利用した生育量推定に基づく追肥(穂肥)判定手法(EXCEL形式の判定シート)を開発した。

 

開発技術の内容

 

ア 空撮画像から解析したLCI(葉クロロフィル指数)と生育量(草丈×茎数×SPAD)に有効積算温度(基準温度10℃)を乗じたパラメータ(補正生育量)との間に高い関係性がある(図1)。それを基にマルチスペクトルカメラを搭載したドローンによる空撮画像を用いて生育量を推定し、追肥(穂肥)判定を行うことができる。

イ 手順は、①幼穂形成期(出穂3週間前)に、ドローン(P4 Multispectral)を用いて、地上約50mから空撮する(飛行設定:航路上オーバーラップ率80%、サイドラップ率60%)。➁画像をSfM-MVSソフトウェア「Pix4Dfields」(処理モード:高速処理)により補正した植生指数LCIを求める。③農研機構メッシュ農業気象データを用いて対象圃場が位置する1kmメッシュの日平均気温の推定値から基準温度を10℃とした有効積算温度の計算を行う。④品種ごとに作成した生育量推定モデル式(追肥判定手法の概念図参照)に➁と③で得られた値を入力し、生育量の推定値を求める。⑤追肥判定の指標となる基準生育量は、「稲・麦・大豆作等指導指針(兵庫県)」において品種別に設定した生育指標(草丈、茎数、SPAD値)の積値を用いることが可能である。コシヒカリの場合は、倒伏リスクを考慮し、追肥判定に草丈の要素を加える(追肥判定手法の概念図を参照)。

ウ ドローンセンシングは,気象条件と撮影時間帯の影響を受けるため、晴天日の場合は10時~11時または1330分~1430分(雲の影響により空撮中の日射環境が変化しないタイミングでの撮影)、曇天日の場合は、撮影時間帯の影響は小さいため9時~16時とする。 

 ※SPAD値:葉緑素計 (SPAD) を用いて測定される、植物の葉に含まれる葉緑素の量を数値化したもの

 

期待する効果 

 

 ドローンセンシングを活用することで、簡易・迅速的に水稲生育量の把握が可能となる。また、追肥(穂肥)判定シートで利用することで、推定生育量の計算と追肥判断結果(追肥の要否)が出力されることから,生育量に応じた適正施肥が可能となり収量・品質の安定化が期待できる。