開発技術名
人工衛星リモートセンシングを活用した生育量推定技術
技術開発の経緯
コシヒカリ、キヌヒカリ、ヒノヒカリにおけるドローンセンシングを活用した生育量推定と追肥判定手法の開発を行った。しかし、マルチスペクトルカメラを搭載したドローンは解析ソフトを含めて導入コストやランニングコストが高く、担い手農業者が導入するにはハードルが高いことが判明した。また、ドローンによるリモートセンシングや解析サービスを提供する事業体も減少傾向であり、生産現場においてドローンセンシングの利用は停滞している。
一方、低コストかつ簡便(測定手間がかからない)に利用できる衛星リモートセンシング機能を有するxarvio(xarvio FIELD MANAGER(BASF Digital Farming GmbH,JA全農))は、導入コストも比較的安価であり(95円/10a※30ha規模、生育マップ機能のみ)、農業者にとって身近になりつつあるため、それを活用した水稲の生育診断技術の開発が求められている。
開発技術の内容
ア コシヒカリ、キヌヒカリ、ヒノヒカリにおいて、ドローン(P4 Multispectral)で解析したNDVI※P4Mと人工衛星PlanetScope(xarvioの植生マップデータ)で得られたNDVIxarvioとの間には有意な正の相関関係(コシヒカリ:r=0.92,キヌヒカリ:r=0.94,ヒノヒカリ:r=0.73)が認められたことから、NDVIxarvioからNDVIP4Mを推定することができる。
イ NDVIP4Mを用いて作成した生育量推定モデル式に、アの回帰式を用いてNDVIxarvioより得たNDVIP4Mを入力することで生育量が推定できる。LCIを用いた生育量推定モデル式と比べて品種によってはやや推定精度が低下するものの、幼穂形成期における推定生育量から追肥判定を行うことができる(xarvio衛星リモートセンシングを利用した追肥判定手法の概念図を参照)。
ウ 衛星リモートセンシングは極早生品種(コシヒカリ、キヌヒカリ)の場合、幼穂形成期が梅雨と重なるため、解析頻度が低く、データが取得できない可能性があることに留意する。また、NDVIxarvioは人工衛星間の個体間差に起因する外れ値が生じる可能性が指摘されているため、データの利用にあたっては、経時変化を確認しながら値の妥当性を確認する必要がある。
※NDVI:Normalized Difference Vegetation Index(正規化植生指数)の略で、植物の葉緑素の光吸収特性を利用して、植生の量や活性度を数値化した指標
期待する効果
衛星リモートセンシングの利用により、開発技術の普及性が高まることが期待できる。