開発技術名
ノリ養殖場におけるクロダイの行動生態
技術開発の経緯
近年、全国的な養殖ノリの生産枚数の減少が問題となっており、その要因の一つとしてクロダイによる食害が挙げられる。食害対策を実施するうえで、本種の行動生態に関する知見は必要不可欠であることから、バイオテレメトリー手法※を用いてノリ養殖場周辺におけるクロダイの行動生態を明らかにする。
開発技術の内容
ア 2021年度に放流した供試魚23個体のうち、8個体(約1/3)がノリを摂食している。
イ ノリを摂食する個体は、日中は水面にあるノリ網直下を遊泳してノリを摂食し、夜間はノリ養殖場の沿岸側に位置する海底付近や構造物周辺に定位するという日周期的行動をとる。
ウ 日周期的行動は、ノリ養殖開始以降ほぼ毎日観察されたが、海域の水温が13℃を下回る頃(神戸地先では例年12月末頃)からこの行動をとる個体が徐々に減少した。
エ 2022年度の調査では2漁期連続してノリを摂食していた個体が確認されたことから、ノリ養殖場周辺の沿岸部に居付く個体が食害を引き起こしている可能性が示唆される。
オ 本種は沿岸部での漁獲実態がほとんどない事から、食害軽減策としては、これらノリ養殖場周辺の沿岸部に居付くクロダイを積極的に漁獲、水揚げすべきという方向性を提示する。
期待する効果
食害原因種クロダイの行動特性に応じた対策による、ノリ養殖業の安定的な持続と発展。
※研究対象魚に小型の発信機を装着して海域に放流し、海域に設置した受信機により発信機からの信号を受信することで、対象魚の行動をモニタリングする手法。これにより対象魚(個体)の特定の場所への滞留、分散、移動などの行動情報を遠隔的に取得できる。