開発技術名
大豆の安定生産に向けた耐倒伏性に関するDNAマーカーの開発
技術開発の経緯
近年、大豆の収量や品質の低下の原因の1つに倒伏が考えられ、改善が求められている。そこで、将来的な品種対策の観点から、倒伏に関する諸性質を調べるため、倒伏しにくい(耐倒伏性)特性を持つ米国品種「UA4805」と倒伏しやすい国内品種「フクユタカ」及びこれらを交配した個体群を用いて、栽培試験を行い、耐倒伏性を有する系統の特性把握と耐倒伏性に関するDNAマーカーを開発した。
開発技術の内容
ア 交配した個体群97系統の特性調査の結果、倒伏しにくい系統は、倒伏しやすい系統に比べて、倒伏角度が小さいことに加えて、主茎長が7.1cm短く、節数が1.2少ない。
イ 交配後代97系統のDNA解析の結果、倒伏しにくい系統は、倒伏しやすい系統に比べて、遺伝子領域(qLR13-1,qLR19-1)を特異的に有している。
ウ ダイズ全ゲノム遺伝子データベースを活用した解析結果から、耐倒伏性に影響する倒伏角度、主茎長および節数に関与する第13番染色体、および第19番染色体上のDNAマーカーとして「Sat_197」「Sat_113」を開発できている。
エ 別の交配組み合わせ120個体において、本DNAマーカーの適応性を確認した結果、両DNAマーカーを有する個体の倒伏角度(11度)はDNAマーカーを持たない個体の角度(29度)に比べて有意に小さく、主茎長が短く、節数が少ないことから、本DNAマーカーは耐倒伏性の選抜に有効である。
期待する効果
今回得られたDNAマーカーを利用することで、耐倒伏性を有した品種及び系統の効率的な選定に貢献できる。