ウンカは大きさが5mmくらいの小さな虫です。姿はセミに似ていて、事実セミとは親戚関係にあります。日本で見られるウンカの仲間はおよそ100種類。このうち稲の害虫として有名なのはトビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカの3種で、このうちトビイロウンカは昨年大発生して県下各地で被害を与えました。
 「ウンカ」の由来ですが、この虫に対してウンカという名称をはじめて使ったと考えられる文献(島根県赤穴神社蔵)には、寛永18年(1641)の秋、西国や備後、備中、石見地方に雲蚊が大発生して、その翌年から大飢饉になったという記述があります。ウンカが大発生している様が「雲」のような「蚊」に見えたのは想像に難くありません。それで「ウンカ」と呼ばれるようになったのだと考えられます。
 現在、ウンカは「浮塵子」と書きます。これは江戸時代以降、中国の書物にある生き物の「日本の種類へのあてはめ」が行われたためで、中国では古来からウンカは「浮塵子」です(発音はもちろん中国語)。
 それでは、沢山を表す「雲霞のように」という表現は虫のウンカと関係あるのでしょうか?
 保元物語には「軍兵雲霞のごとく召具して」という下りがあります。保元物語が作成されたのが1200年代の半ばですから、前述の「雲蚊」文献(1600年代)との年代順序を考えると、「雲霞」の語源は虫のウンカではなく「雲」と「霞」と考えるのが妥当だと思われます。
 もっとも、最近ではウンカが「雲霞」と書かれていることを時々見かけます。言葉は変わっていくものですし、「雲霞」に対してどちらをイメージしても日常のコミュニケーションに支障を来すことはまずありません。ただ、その背景を知っているとちょっとだけ楽しくなります。

 

トビイロウンカ

ヒメトビウンカ

 

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