開発技術名

「アクリルケースとスキャナーを利用した露地野菜根系の非破壊定量手法」

 

技術開発の経緯

 露地野菜は、気象変動の影響を受けやすく、定植後の大雨による生育不良や乾燥による収量低下等で産地の作柄に大きく影響する。これまで、生育に影響を及ぼす地下部環境要因(土壌水分・物理性、肥料成分等)の違いによって、根系の発達がどう変化していくかを生育中にリアルタイムで確認することはできなかった。そこで、透明のアクリルケースを土中に埋め込み市販のスキャナーを利用し、得られた画像から根系を非破壊で継続的に観測する手法の開発に取り組んだ。

 

開発技術の内容

ア 透明なアクリルケース(内寸:縦 43cm、 横5cm、深さ28cm、厚さ0.5cm)を畝中央の条間に、条と平行になるよう縦向きに埋設し、その後レタスを定植する。
イ フラットヘッドスキャナー(EPSON社製GT-S640)をアクリルケースの中に入れ、測定部全体を暗幕で覆い、スキャナーで土中をスキャンし(解像度300dpi)、画像を撮影する。
ウ 得られた画像をImageJの画像処理機能を利用し、8ビットグレースケールTIFF画像に変換後、自動二値化アルゴリズム「triangle」の閾値で2値化を行い、ImageJの粒子解析機能を利用し、根の太さ別・層別に根長を定量する。
エ 本手法はレタスの他、キャベツ、ブロッコリー、エダマメで根量定量が可能である。

 

期待する効果

 根系を可視化し生育との関係を解明することにより、ダメージからの回復や被害を未然に防ぐ対策・圃場管理技術を確立することが可能となり、露地野菜の安定生産に貢献できる。

 

連絡先

 淡路農業技術センター農業部 0799-42-4880 (作成者:中野 伸一)