開発技術名

「小型近赤外線分光器を用いた乳牛の発情発見技術」

 

技術開発の経緯

 兵庫県下の酪農家の分娩間隔は年々延長傾向となっている。その原因の一つとして、改良による乳牛の高泌乳化に伴い発情が不明瞭な牛が増加し発情の見逃しや適期外の授精が増加していることが考えられ、これらを解決する技術が求められている。
 酪農現場で活用可能な小型の発情発見装置を開発し簡易に発情の診断が出来れば、人工授精率と受胎率の向上につながり、県下の酪農家の繁殖成績の向上に貢献できると考え、神戸大学との共同研究により技術開発に取り組んだ。

 

開発技術の内容

ア 小型の近赤外線分光器を用いた搾乳牛の乳頭周囲皮膚の近赤外線スペクトル測定においては、770、780、810、890及び940nmの5波長が発情期(発情前6日~発情翌日)と黄体期(発情後8日~発情後15日)の連続測定において異なる変化を示す発情の指標波長である。
イ 5波長の吸光度変化の傾向を発情診断パターンとして用いることで、発情発見の感度(発情期に発情診断パターンを示す牛の割合)が80%、特異度(黄体期に発情診断パターンを示さない牛の割合)が70%と良好な成績が得られる。

 

期待する効果

 分析に供する頭数を増やし発情診断の精度をより高めたうえで、発情診断プログラムを組み込んだ小型の近赤外線分光器が市販されれば、妊娠率の向上に大きく寄与すると考えられる。

 

連絡先

 淡路農業技術センター畜産部 0799-42-4880 (作成者:石川 翔)