開発技術名

「バイオテレメトリー手法を用いたズワイガニの行動追跡調査方法の確立」

 

技術開発の経緯

 増殖場(保護区)内部でのズワイガニの分布・行動・場外への拡散過程などについては情報が乏しく、効果の客観的な把握が困難だった。そこで、近年著しく進歩したバイオテレメトリー(生物行動情報遠隔測定)手法に着目し、ズワイガニの行動追跡手法としての有効性を検討した。

 

開発技術の内容

ア 回収の容易な受信機係留系の開発と配置
 ズワイガニの詳細な位置を継続把握するために等間隔に配置する受信機係留ブイについて、その間隔は400mが適当であることを明らかにした。航行船舶やイカ釣り漁具との接触を防ぐため、係留ブイの高さを20mに留める(海面から200m以上を確保する)一方、各係留ブイを浮力のあるロープで連結することで、受信機の回収を容易にした。
イ ズワイガニへの発信機装着手法の確立
 発信機の装着には、水中でも固化するエポキシ系パテ状接着・充填剤を用い、甲羅の背面前部に発信部を突出させるように接着することで、脱落、埋没、行動への制約を回避することができた。
ウ 発信機装着ズワイガニの海底への輸送方法の確立
 蓋付のドラム缶を用い、冷却海水とともにズワイガニを海底に輸送する放流器を開発、使用することで、高温の表中層水がズワイガニに与えるダメージをなくすことができた。
エ 海底におけるズワイガニの行動解析
 深海底におけるズワイガニの行動を、VPS測位システムにより追跡、記録することに、世界で初めて成功した。解析の結果、①海底での移動は主に夜間に行われること、②移動方向は海底付近の流れとの関連が認められること、③増殖場内に放流されたズワイガニは5ヶ月経過後、約半数の個体が増殖場内に留まることなどが明らかになった。

 

期待する効果

 ズワイガニ行動追跡手法としての有効性が確認され、さらなる行動生態の解明や漁具動態計測などへの活用が可能である。行動解析結果については、新たな増殖場を設計したり、移植放流や滲み出しによる漁場形成効果などを定量的に検討していく際に活用できる。

 

連絡先

 但馬水産技術センター 0796-36-0395 (作成者:大谷徹也・尾崎為)