開発技術名

「pH降下資材によるレタスビッグベイン病の発病低減技術」

 

技術開発の経緯

 兵庫県のレタスは全国3位の生産量で、生産額は約60億円である。生産の大きな不安定要素となっているビッグベイン病が、発生面積35%、被害額3億円を突破する勢いで発生している。本病は病源ウイルスを土壌中のオルピディウム菌が媒介することで伝染される。対策として化学農薬や耐病性品種は有効ではあるが、土壌中の菌密度を低下させるに至らず、それ以外の防除方法も望まれている。これまでの研究の結果、土壌pHを6.0未満に低下させるとオルピディウム菌による伝染が抑制されることが分かった。そこで、新規の土壌pH低下資材を開発することにより感染を阻止する技術を開発する。

 

開発技術の内容

ア 土壌混和によるpHの降下速度、持続性、発病抑制結果から選抜した硫酸鉄Ⅱの処理により、レタス根内のオルピディウム菌数は減少し、発病を半分程度に抑制し、pHは約1ヶ月間低く維持できる。
イ 圃場において新規資材(亜リン酸5%、硫酸鉄1水和物20%)を局所施肥機で作条混和(60g/㎡)することにより、基肥施用前の土壌pH7.0に対して、定植時(資材混和7日後)のpHは5.51となり、発病は無処理の49%に抑制される。pH低下効果の持続期間は処理後約50日程度である。

 

期待する効果

 土壌pHを低下させ感染を抑制する技術を確立することで、化学殺菌剤の使用を減らした体系防除を支える技術の一つとなり、環境創造型農業の推進に寄与する。

 

連絡先

 農業技術センター病害虫部  0790-47-1222 (作成者:西口真嗣)