開発技術名

「生乳の自発性酸化臭の再現と発生素因の解明」

 

技術開発の経緯

 最近、学校給食の牛乳などで異常風味の発生が問題となっており、乳業メーカーや酪農家に大きな経済的損失を招いている。異常風味のひとつに自発性酸化臭(ダンボール紙臭)があり、その発生素因を解明するため、泌乳牛10頭を供試し、5頭ずつ2グループ(A,B)に分け、従来から原因として指摘されている植物性油脂の豊富な乾燥豆腐粕を乾物中15%含む飼料(試験飼料)を14日間ずつ交互に給与して異常風味の再現を試みた。

 

開発技術の内容

 供試した10頭中6頭が試験飼料給与によって乳中ヘキサナール※)濃度が生乳酸化の基準値である10μg/Lを超え、これらの生乳は官能検査においていずれも自発性酸化臭が感知される。
 乾燥豆腐粕多給により自発性酸化臭が発生した個体としなかった個体を比較したところ、発生個体は産次数と泌乳日数が少なく、血中γグルタミールトランスペプチターゼ活性値が高く、乳蛋白質率が低い。これらのことから、自発性酸化臭の発生リスクの素因として、低産次、泌乳初期、肝機能障害及び低エネルギー状態が考えられる。
※)ヘキサナール:乳中の不飽和脂肪酸が酸化して生じるアルデヒドの一種で異常風味の原因物質。

 

期待する効果

 食品製造粕類を多給している農家では分娩の集中等により上記のような自発性酸化臭発生素因のある個体頭数が増えた場合は、食品製造粕類の給与量を減らすなどの対策により異常風味の発生を未然に防止する。

 

連絡先

 淡路農業技術センター畜産部  0799-42-4880 (作成者:生田 健太郎)