開発技術名

 イチジク「Zidi(ジディ)」台接ぎ木苗の早期育成法

 

技術開発の経緯

  樹勢の低下した園地での改植には、「ジディ(Zidi)」を強勢台木とした接ぎ木苗が有効であるが、苗木の育成には通常2年かかる。そこで台木に穂木を接ぎ木した「接ぎ穂」を挿し木する「接ぎ挿し法」と加温ハウスを活用した接ぎ木苗の当年育成法を開発した。

 

開発技術の内容

ア 「ジディ」の休眠枝(約15㎝)の上部に「桝井ドーフィン」の休眠枝(1芽)を切り接ぎした「接ぎ穂」をポットに挿し木すること(「接ぎ挿し法」)により、育苗期間を1年に短縮できる。

イ 接ぎ挿しは1月に実施する。休眠枝は先端部を除く充実した部位を用い、無肥料培土(ピートモス:パーライト:赤玉土ほか=5:2:3)を充填したポットに深さ10㎝で挿す。

ウ 接ぎ挿しをした後、加温ハウス内で管理(約2.5か月/夜間18℃以上、日中2030℃)することで、外気温が15℃以下の時期(13月)であっても稚苗育成(展葉6枚)することができる。

エ 接ぎ木技術を確実に習得することで、100%の活着率が得られる。挿し木直後から2週間はビニールを被覆し、灌水は週1回、その後被覆を除去し、培土の乾燥に応じて3日おきから毎日灌水する。

オ 挿し木から50日以降に育成した稚苗を鉢上げし、無加温で2次育苗することで、11月頃には新梢基部径10mm以上の良質な苗が商品化率90%以上の割合で、効率的に生産できる。培土には乾燥に応じて3日おきから毎日灌水し、6月には化成肥料(N:P:K=15:15:15)を1本あたり20(N成分で3g)施用して管理する。

 

期待する効果

 イチジク接ぎ木苗の効率的な早期生産により、園地での改植が促進される。技術移転先(JA等)で需要に応じたロスの少ない接ぎ木苗の生産が可能になる。