開発技術名

 石灰窒素施用によるタマネギベと病一次伝染発病抑制

 

技術開発の経緯 

 本県を代表するブランド野菜である淡路島タマネギの安定生産に向け、ベと病防除体系整備は重要課題である。28年産タマネギの大発生以来、共同研究の実施や各関係機関の取り組みにより沈静化はしているが、未だ多発生圃場も散見される。現状の防除対策は罹病株の抜き取りと薬剤防除の徹底であるが、両者とも発病してからの対策であり、発病の起点となる一次伝染源対策は圃場の湛水のみである。そこで、より一層の安定生産と人と環境にやさしい防除体系の整備のため、発病の起点となる一次伝染抑制技術を検討した。

 

開発技術の内容

ア タマネギベと病菌の生活環は前年作の罹病葉内に形成された卵胞子を起点とし、次作タマネギの主要な伝染源となるため、タマネギ収穫後の残渣を十分に腐熟・分解させることを目的に石灰窒素を施用する。

イ 石灰窒素の施用量は60kg/10aを基準とし、前年のベと病発生量に応じて4080kg/10aとすることで一次伝染株の発生を抑制することができる。前作発病が甚発生圃場(株率:70-100%):80kg/10a、多発生圃場(同:50-70%):60kg/10a、中発生圃場(同:20-50%):40kg/10a程度施用することにより、防除価80-90程度が期待できる。

ウ 石灰窒素は前作収穫後の残渣すき込み時に施用する。当年作タマネギの定植前に施用すると著しい生育抑制が見られるとともに、石灰窒素由来の窒素成分により春以降、窒素成分の遅効きが起こり品質の低下を招くので、施用時期を厳守する。

エ 施用方法は前作収穫後圃場に粒状石灰窒素の所定量を全層施用し、ロータリーで丁寧に耕耘する。

オ 湛水の困難な畑地や水利条件の悪い圃場向けの一次伝染抑制技術である。

 

*防除価:防除効果の高さを評価する指数の一つ。無処理区の被害に対してその被害をどの程度抑えたかを数値化したもの。

 

期待する効果 

 本技術を導入することで、一次伝染株の発生を抑制することが可能となり、抜き取り作業の軽減化、その後の二次伝染に対する薬剤使用の低減を可能とする。