開発技術名

 農産物加工品(ジャム類・佃煮類)における水分活性予測式モデルの開発

 

技術開発の経緯 

 水分活性は食品の保存性を検討する上で重要な指標の一つであるが、測定機器が高価であるため、農産物加工の現場においてはあまり活用されていない。そこで、屈折計(糖度(Brix))や塩分計、pHメーターなど現場で普及している測定機器により農産物加工品(ジャム類・佃煮類)の水分活性を推定する予測式モデルの開発に取り組んだ。

 

開発技術の内容

ア ジャム類の水分活性は、屈折計(糖度計)の測定値により、以下の式から予測できる(予測誤差:0.0117、決定係数R2 : 0.8715)。

ここではB:屈折計測定値、e:ネイピア数(自然対数の底)とする。

イ 佃煮類の水分活性は、屈折計、塩分計、pHメーターの測定値により、以下の式から予測できる(予測誤差 : 0.0103、決定係数R2 : 0.9291)。

ここではB:屈折計測定値、S:塩分計測定値、e:ネイピア数(自然対数の底)とし、塩分濃度が屈折計の測定値に及ぼす影響を考慮して以下の補整値(Bc)を用いる。

ウ 佃煮類の水分活性予測式は、佃煮に限らずソース類、調味漬および長期保存可能な総菜にも適用できる。但し、①屈折計、塩分計で計測可能な水分を有していない製品、②食酢、味噌が多量に入っている製品、③保存料、酸味料など食品添加物が入っている製品、④10%以上の塩分濃度を有する製品 は誤差が大きく、適用できない。

エ 佃煮類の水分活性予測式は、屈折計、塩分計の測定値のみを変数とした簡易予測式も作成している(予測誤差 : 0.0142、決定係数R2 : 0.8733)。

オ 精確な測定のため、屈折計はサンプルを希釈せず常温の状態で測定する。塩分計は糖度(Brix)の高いサンプルで誤差を生じやすいので、機器の説明書に基づき、精確に既定の倍率に希釈して常温の状態で測定する。

 

期待する効果 

 必要な値を入力すると予測式から自動計算できるエクセルファイルを普及センターや農産加工事業者に配布することにより、高価な測定機器を導入しなくても製品に必要な殺菌条件や流通形態を検討することが可能となり、新製品開発が促進される。