開発技術名
メチル基供給源・ビタミン複合剤による周産期乳牛の脂肪肝予防
技術開発の経緯
乳牛は分娩後の急激な泌乳量増加に見合うエネルギーを摂取できないため、体脂肪が肝臓に流入し、エネルギーに変換されたり、リポ蛋白と結合して末梢へ運び出される。牛の肝臓は脂肪を運び出す能力が低いため、中性脂肪が蓄積して脂肪肝になりやすい。脂肪肝は周産期疾病や繁殖障害の素因とされ、その予防は酪農経営上非常に重要である。
開発技術の内容
ア 肝臓に流入した脂肪をリポ蛋白と結合させ、肝臓外へ運び出す際に必要となるアミノ酸などのメチル基供給源とビタミン(C,B2,B12など)の複合製剤(メコビットJ:明治飼糧)を分娩予定の3週前から分娩後3週まで1日50g(約200円)を添加する。
イ 分娩後1,2,5週に肝生検を行い、肝臓内の脂肪蓄積状況を組織画像スコアと中性脂肪含量で比較すると、無添加に比べ25~50%程度に抑制できる。
期待する効果
周産期疾病や繁殖障害の防除による治療費や死亡・廃用の低減と、それによる生乳生産効率や酪農経営の向上。