開発技術名

 一時的な飼料摂取不足が乳中脂肪酸組成に及ぼす影響

 

技術開発の経緯 

 牛の乳中脂肪酸組成(MFA)は原料由来によって、ルーメン発酵産物(VFA)由来のDe novo、体脂肪や飼料中脂肪由来のPreformed、それら両方に由来するMixedの3グループに分けられる。MFAは乾物摂取量(DMI)やエネルギーバランスを反映して変動するとされるが、それにはどのくらいのタイムラグがあるのかは不明である。そこで、一時的な食欲不振を想定し、2日間にわたり朝の飼料摂取量を制限した場合のMFAに及ぼす影響を検討した。

 

開発技術の内容

ア 通常給与の対照区、2日間朝の給与量を半減する半量区、同じく無給与とする絶食区の3処理区を設け、MFAについて各処理区における処理前後の差と処理後の区間の差を検討する。

イ De novoの中で炭素鎖数が最も多いミリスチン酸、Mixedとその大部分を占めるパルミチン酸はDMI不足によるVFAの減少を反映し、処理後に半量区と絶食区で低下し、処理後の区間比較では、対照区や半量区に比べ、絶食区が低値である。

ウ PreformedDMI不足による負のエネルギーバランスに伴う体脂肪動員を反映し、処理後に半量区と絶食区で上昇し、処理後の区間比較では、対照区と半量区に比べ、絶食区が高値である。

エ 以上のように、一時的な飼料摂取量不足であっても、MFAは鋭敏に変動する。

 

期待する効果 

 牛群構成、飼料構成、飼料ロット、季節などによるDMIへの影響を的確に評価できる。