開発技術名

「(R3)肥育牛における蛋白質摂取量と肝機能の関連性」

 

技術開発の経緯

 

 生産現場では肥育中期から後期にかけて、肝機能が低下し、食欲不振などによる生産性の低下が課題となっている。また、肥育牛の生体内で活用できない飼料中蛋白質(CP)由来の過剰なアンモニア態窒素は肝臓で尿素に解毒される際に肝臓へ負荷をかけることが知られている。肝機能指標の1つには、血漿中アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)濃度が用いられている。本試験では、CP濃度の異なる濃厚飼料※を用いて、CP摂取量の違いが黒毛和種去勢牛の肝機能および産肉性へ及ぼす影響を検討した。

※対照区:慣行飼料を給与、低CP区:対照区に比べCPを約30%低下させた試験飼料を給与

 

開発技術の内容

 

・試験期間中の血漿中UN濃度(x)とAST濃度(y)には、次式のように、血漿中UN濃度が1 mg/dL増加すると、AST濃度

 が2 IU/L増加する関係がある。

 対照区:y = 1.93x + 61.91 + 8.86  低CP区:y = 1.93x + 61.91 – 8.86

 自由度調整済み決定係数R2 = 0.51P < 0.01

・低CP区の供試牛が摂取した飼料中CP含量は8%であり、低CP区は対照区に比べ、産肉性において遜色が認められなかっ

 たことから、肥育中期および後期における但馬牛去勢牛に供する飼料中CP含量は8%でも満たされている可能性がある。

 

期待する効果

 生産現場における肝障害発症牛の減少。高騰する蛋白質飼料の使用量および窒素排泄物の低減。

 

連絡先

 畜産技術センター 家畜部  0790-47-2430 (作成者:正木 達規)