開発技術名
「(R3)新奇害虫「ビワキジラミ」の防除対策」
技術開発の経緯
平成29年5月、淡路島のビワ園にて「ビワキジラミ」の発生が確認された。本種は新奇害虫のため、生態も不明な点が多く、登録薬剤はあるが、直接、虫体にかからないと効果が低い事例があり、生産意欲の低下が懸念された。そこで、産地の栽培実態に合わせた効果的な防除法を検討した。
開発技術の内容
ア ビワキジラミは、花蕾や果実の基部などの狭い隙間に入り込むため、防除は、花蕾や果蕾、幼果の隙間
が大きい時期(11月中下旬、3~4月)に実施すると防除効果が高い。11月中下旬では摘蕾後、3~4月は
摘果後に散布することが望ましい。
イ 展着剤を加用し、長尺ノズルや鉄砲ノズル等にて、花(果)蕾めがけて十分量(400L /10a以上)を散
布することで、高い防除効果が得られる。
ウ 発生程度に合わせて薬剤散布を行う。本種の密度を低下させ、本種による「すす症」被害果を抑制す
る。
発生が少ない場合:11月中下旬にDMTP乳剤(ただし2023年10月に登録失効)あるいはピリダベン水和
剤の1回散布
発生が中程度場合:11月に加えて、3~4月にジノテフランを追加し、2回防除を行う。
発生が多い場合 :2回散布に加えて、収穫終了後の7月にDMTPまたは登録薬剤で3回目の散布を実施。
期待する効果
ビワキジラミ発生地域において、上記防除体系を導入することで、本種による被害果率を10%未満にし、産地を維持することができると期待される。
連絡先
農業技術センター 病害虫部 0790ー47-1222 (作成者: 田中 雅也)