開発技術名

「(R3)微小昆虫誘引・捕獲シート(虫ペタッと大判粘着シート)」

 

技術開発の経緯

 

 研究課題「UV反射シートによるアザミウマ・コナジラミ類防除技術の評価(R2R3)」ではコナジラミ類やアザミウマ類といった施設重要害虫を対象に、反射シート資材が引き起こす行動異常を実証することを目的としており、共同研究機関である小泉製麻()が開発中の様々なシート資材を試験に供試するなかで、織編(おりあみ)構造を持つシートが高い誘引・捕虫性能(アザミウマ類に対して既製品の約3倍)を示すことを発見した。その後、職務発明の認定(2021.9.10)、特許出願(2021.9.24)を経て、商品名「虫ペタッと大判粘着シート」として小泉製麻()が製造販売するに至っている。

 

開発技術の内容

 

ア テープ状の経(たて)糸と緯(よこ)糸の織編によって表面に凹凸が生じる三次元構造と、使用時に透

 過光によって生じる不規則な濃淡(視覚コントラスト)が「エッジ効果」として作用し、害虫に対して高

 い誘引性能を示すと考えられる。これまでの捕虫シートでは、視覚コントラストの作出はシート面への模

 様の印刷や表面のエンボス加工によるもので、織編構造が使われているものはなくオリジナリティーが高

 い。

イ 製品は黄色と青色があり、価格はいずれも3900/m2で、既存の捕虫シート(ホリバー)の3170

 円/m2と比べると、資材の単位面積当たりの価格はやや高いが、単位面積当たりの捕虫性能が約3倍あり、

 耐久性、耐候性にも優れていることからコストパフォーマンスは高い。

 

期待する効果

 

 コナジラミ類、アザミウマ類、ハモグリバエ類といった施設栽培環境で恒常的に発生する微小害虫に対する物理的防除資材として、薬剤抵抗性の抑制、環境負荷の軽減等に貢献できる。

 

連絡先

 農業技術センター 病害虫部 0790ー47-1222 (作成者: 八瀬 順也)