開発技術名
「ピーマン炭疽病の雨よけ栽培による防除技術の確立」
技術開発の経緯
但馬地域において、平成21年に新しい強病原性のピーマン炭疽病が発生した。本病は既存の炭疽病菌と異なり病原力が強く、瞬く間に但馬全域にまん延した。そこで、効果のある農薬の選定及び農薬登録データの蓄積を行ってきた。しかし、収穫期間が長いため、農薬散布だけでは発病を抑えることができない。そこで、農薬だけに頼らない、新たな防除技術が望まれていた。
開発技術の内容
ア 雨よけのビニルを張ることで炭疽病菌の飛散を防ぎ、感染を抑えることが可能である。
イ 雨よけ栽培の例として、2畦を1列として幅280cm、高さ177~220cmで、畦に沿って100~120cm間隔でφ19mmのパイプを組み、幅360cmの透明ビニルを天井面に張る。
ウ 夏期は雨よけビニルに遮熱シート(遮光率20%以下)を張ることで高温障害を防ぐ。
期待する効果
ア 雨よけ遮熱栽培を行うことで、秀品収量を11%、また秀品率を12%程度上げることが期待され(北部農技における試験に基づく)、ピーマン生産者の安定生産に寄与することが可能である。
イ 経営に雨よけ遮熱栽培を導入して、露地栽培で炭疽病被害果率30%、雨よけ遮熱栽培で同病被害果率0.5%と仮定し、通常収量9t/10a、平均単価300円/kg、資材導入コスト(鋼管パイプ等耐用年数から1年分に換算)388,500円/10aとすると、発病抑制により408,000円/10aの収益向上、さらに秀品収量が増加するため、それ以上の収益向上も期待される。
連絡先
農業技術センター病害虫部 0790-47-1222 (作成者:神頭 武嗣)