開発技術名
育苗用セルトレイで作るナメクジの簡易トラップ
技術開発の経緯
ナメクジ類は多くの農作物を食害して、生産物の商品価値を著しく低下させる。周年栽培されている施設葉菜類においては被害が他の作物より大きくなりやすいことに加えて、同じ施設で複数の品目を栽培することが多いため難防除となっている。誘引トラップによる捕殺手段があるものの製品はなく、生産現場で簡易に作成可能な誘引トラップの必要性が高い。
ナメクジ類(特にチャコウラナメクジ)は、体表面の密着度が高くなる隙間状構造物に集棲する傾向が見られたことから、生産現場で広く使われている育苗用セルトレイを重ねたものが捕獲トラップの形状として有望と考えられた。
開発技術の内容
ア 72穴のセルトレイを2×2(4セル)に切り取り、2枚を重ねて1セットとする(図)。ナメクジ類が発生している施設周辺などにうつ伏せにして設置する。夜間にナメクジ類が入り込むので、朝方にトラップを回収してナメクジ類を処分する。
イ 誘引剤として観賞魚用餌、ドッグフード等が利用できる。ペレット状のカメの餌1gを組み合わせたものは、同トラップの餌なしと比べ約1.6倍の捕獲性能を示す。
ウ 逃亡防止機能はこのトラップにはなく、内部の温度が上がるとナメクジ類が逃亡し始めるので、回収はできるだけ早朝に行うことが望ましい。また、マルチ押さえのピンなどで地面に刺しておくと紛失防止にもなる。
期待する効果
気温が高くなる6月以降の利用は適さないが、ナメクジ類は夏以降増殖しないので、春先から初夏まで捕獲防除を続けることで効率的な密度減少効果が期待できる。