開発技術名
「UV-B照射と光反射シートによる施設イチゴ(土耕栽培)のハダニ類・うどんこ病同時防除法(UV法)」
技術開発の経緯
施設イチゴ栽培において、ハダニ類は薬剤抵抗性を発達させた難防除害虫であり、多回数の薬剤散布が行われている。紫外線(UV-B)照射によるうどんこ病予防技術(2010年)を開発してきたが、同じ波長のUV-Bがハダニ類に致死効果があることが室内試験で明らかにされた。ハダニ類をうどんこ病と同時防除できると、施設イチゴ栽培における薬剤使用回数の大幅な削減が期待できることから、技術開発に取り組んだ。
開発技術の内容
ア UV-Bランプ(商品名:UV-B電球形蛍光灯)と光反射シート(商品名:タイベック)を組み合わせ、UV-Bをハダニの生息している葉裏に到達させることで、ハダニ類を低い密度のまま維持でき、薬剤使用回数を大幅に削減できる。
イ 土耕栽培において、イチゴ株上のUV-B照度を0.12 W/㎡(畝から1.8mの高さに、幅2.5mで畝に平行に3m間隔でランプを設置:10個/a)とし、夜間3時間照射することで効果が期待できる。
ウ 株が混み合った状態など葉裏にUV-Bが届かない条件では、ハダニ類密度抑制効果は低くなる点に留意(葉裏にUV-Bが当たれば効く、当たらなければ効かない)する必要がある。
期待する効果
ア 本技術の導入により、定植後の10月初旬から株が混み合い始める4月上旬まで殺ダニ剤を使用せずにハダニ類密度が抑制できるため、薬剤使用回数の大幅な削減と、イチゴの安定生産を両立できる。〔無照射区(タイベック設置)における10月初旬~4月上旬までの殺ダニ剤使用回数:2回〕
イ 本技術の導入により、収量は増加傾向、糖度も高くなる傾向があることから、経営のさらなる安定に寄与できる。
連絡先
農業技術センター病害虫部 0790-47-1222 (作成者:田中 雅也)