開発技術名

「黄色LED防蛾灯を用いたシロイチモジヨトウの被害抑制」

 

技術開発の経緯

 平成28年頃から西日本を中心にシロイチモジヨトウが多発傾向にあり、本県においても、淡路地域の葉ネギをはじめ、キャベツやハクサイなど、様々な露地野菜で被害が多発していた。本種に対して、ジアミド系殺虫剤等の多くの現地慣行剤の殺虫効果は低く、殺虫剤のみによる密度抑制が困難であった。現地で導入が進む、フェロモン剤による交信かく乱法は、10a程度の小面積圃場では効果が安定しないことが課題となったため、小面積でも有効な防除手段として、忌避・行動抑制効果を持つ黄色LED防蛾灯の有効性を検討した。

 

開発技術の内容

ア ネギの事例では、黄色LED防蛾灯※1を最低照度が1lux(ルクス)以上となるよう水平方向に照射※2すると、被害を大幅に抑制し(被害株率96%6%)、薬

 剤散布回数も低減(6回→1回)することができる。

イ 照射方向を上空向き※3にしても、水平方向照射と同程度の防除効果が得られ、周辺の作物や民家への影響を軽減することができる。

ウ シロイチモジヨトウが多発生した場合、交信かく乱剤と併用することで、さらに防除効果が高まる。特に被害が集中しやすい9月中旬以降に収穫する作型では

 高い防除効果が見込める。

 ※1  1198mm×φ25mmの直管形(M社製)。現地で利用実績がある黄色蛍光管と同様、560nm650nmにピークを持つ波長を有する。消費電力は18W

  (±10%)で、配光角度は160°、全光束2150lm

 ※2  2本の防蛾灯を1本の鉄管に背中合わせで固定し(防蛾灯の下端は地上高1.5m)、圃場中央に設置する(約4/10a:別紙参照)。

 ※3  地上高1.5mとなるよう、圃場中央に、1本ずつ設置する(約4/10a:別紙参照)。

 

期待する効果

  ネギ圃場でシロイチモジヨトウが多発生した場合、被害が集中しやすい9月中旬以降に収穫する作型では、10aあたり最大約7万円の利益向上が見込める(別

 紙参照)。また、ネギ以外での作物への適応も見込める。

 

連絡先

 農業技術センター 病害虫部 0790-47-1222 (作成者:冨原 工弥)