開発技術名
「底面給水マットの気化冷却と日射制御型給水を活用した花壇苗生産システム」
技術開発の経緯
花壇苗生産では、高度な水管理技術が求められ、植物体の頭上から灌水する方法(頭上灌水)が主となっている。しかし、夏季は、水管理にかかる労力が多大であり、また、高温による植物の生育停滞や開花遅延が問題となっている。加西農業改良普及センターから、花壇苗の夏季高温期における品質安定化技術の要望提案を受け、課題化し技術開発に取り組んだ。
開発技術の内容
ア 灌水システムは、ベンチ上に下から、透水シート、底面給水マット及び防根シートを敷いた上に、35cm間隔で点滴チューブを設置したもので、日射制御型灌水装置により日射量に応じた給水をする。さらに、底面給水マットの下部では送風処理(風速5m/s)を行う。
イ 底面給水マットの水分の気化熱により、日中の鉢周辺の気温は、慣行の頭上灌水に比べ、最大6℃程度低くなる。また、夏越し栽培を行うシクラメンの開花は、慣行に比べ、14日程度早くなる。
ウ 資材費は、拍動灌水装置一式が約9万円(1台)、その他の資材(マット、送風機等)が約10万円(100㎡当たり)である。
期待する効果
灌水作業は、従来の頭上灌水の約60時間(10a・1ヶ月当たり)から約3時間(約95%削減)に削減できる。さらに均一に灌水できるため品質の安定化が図れる。夏季の生産においては、昇温抑制により開花遅延を防ぐことで早期出荷が可能となり、商品のブランド化確立に貢献できる。
連絡先
農業技術センター農産園芸部 0790-47-2424 (作成者:水谷祐一郎)