開発技術名
「栽培の省力化に適したわい性台木品種と二重接ぎ苗の早期育成法の開発」
技術開発の経緯
本県の主要品種である「銀寄」は、強樹勢のため、樹が高くなりやすく、新規栽培者の増加や高齢化が進む中、より省力的で平易な栽培技術が求められている。そこで、わい性台木品種を中間台に用いた、二重接ぎ苗による栽培を想定し、わい化に有効な中間台品種の選定や、二重接ぎ苗の早期育成法を開発した。
開発技術の内容
ア わい化に有効な台木品種の選定
わい性台木候補6品種から選定した結果、「七(なな)立(たて)」のわい化効果が高く、有望であった。
「七立」を中間台木(台木長20㎝)として作成した穂木品種「銀寄」の苗木は、接ぎ木4年目で慣行苗と比べ、穂木基部径が約60%、総新梢伸長が約30%の大
きさになった。樹冠占有面積や着毬数には差がなく、接ぎ木親和性も高く、栽培特性上の問題は無かった。
イ 中間台木を利用した二重接ぎ苗の早期育成法
中間台木および穂木品種の休眠枝は1月下旬~2月上旬ごろに採取し、3月中下旬頃に中間台木品種へ穂木品種の一芽を切り接ぎした「接ぎ穂」を作成する。
「接ぎ穂」は湯煎で溶かしたパラフィンワックス(融点59℃)で全体を被覆し、接ぎ木に使用するまで冷蔵保存(0-2℃)しておく。4月上中旬に中間台木基部
を数ミリ切り取った後、水を入れた容器内に基部を下にして水揚げ(24時間・室温15~20℃)させ、ニホングリ台木に居接ぎする(一挙二重接ぎ法)。
期待する効果
既存の剪定技術(低樹高栽培〔兵庫方式〕)を用いて、強勢品種の樹勢を中庸に保つことができることで、せん定、病害虫防除の省力化が図れる。
連絡先
農業技術センター農産園芸部 0790-47-2424 (作成者:黒田 英明)