開発技術名

「農産物直売所出荷を対象とした小ギク及びユリつぼみ切り花の収穫後開花調節による特定日出荷技術」

 

技術開発の経緯

 農産物直売所での切り花需要は、盆、彼岸、正月などの特定日あるいは土・日曜日が多い。そこで、つぼみ期に収穫した小ギク、ユリを収穫後、専用の開花液を吸収させ、開花室での温度制御により蕾の発達・開花速度を調節し、需要予測に基づく、需給のミスマッチの少ない出荷技術を開発した。

 

開発技術の内容

ア 開花液について、小ギクではショ糖(3%)、STS(0.03mM)、界面活性剤、抗菌剤、ユリではショ糖(3%)、ジベレリンA3(30μM)、抗菌剤をそれぞれ混用処方する(兵庫農総セ)。開花液の経費として、1本当たり小ギクは約2円、ユリは約15円掛かる。開花室は作業場などの一画を仕切るなどして設置でき、カーテン、エアコン、蛍光灯などの設備に65,000円程度の費用が必要である。
イ この開花調節により、ほ場での自然開花日に対して小ギクは15~30℃の範囲で-2~+4日、ユリでは15~25℃の範囲で-4~+5日調節できる(奈良農総セ)。
ウ 過去3年間の日別の販売データを用いて開発したソフトにより、週及び日ごとの需要を予測できる(農研機構近中四農研)。

 

期待する効果

 これらの成果の組み合わせにより、自然開花での特定日出荷率30%を、小ギクでは50%(秋彼岸出荷)、ユリでは80%(土日出荷)に向上させることができる。
 実証試験に基づく経営試算では、年間出荷量が小ギクでは20,000本以上、ユリでは800本以上の農家で所得増加のメリットが認められる。農産物直売所においては、需給調整が可能となり、消費者の需要に応えた有利販売が可能となる。

 

連絡先

 農業技術センター農産園芸部 0790-47-2424