開発技術名

 

 構造材や造作材への利用が可能なスギ柾目板CLTパネルの開発

 

技術開発の経緯 

 

 県内人工林から生産される丸太の大径化が進む一方、その用途が少なく取引価格が低迷していることから、大径材の価値向上に繋がる新たな加工・利用技術の開発が求められている。

 従来、梁や桁などの横架材に利用される平角は、髄(丸太の中心)を含む製品木取りが行われてきたが、当センターでは、スギ大径材の新たな木取りとして、丸太の半径方向を梁せいとする平角を髄の上下から2本採取する二丁取り心去り平角(以下「上下心去り平角」という。)の利用技術をR3年度に開発した。

 そこで今回の技術開発では、製材歩留り向上のため、上下心去り平角を採材した残部から得られる柾目板を使った新たな建築材料の製造を検討した。

 

開発技術の内容

 

ア スギ大径材丸太から上下心去り平角を製材した残部から柾目板を採取し、幅方向に接合して板状にし、直交するように積層接着することで、直交集成板(CLTパネル)を製造することができる。

イ 協力機関と連携して確立したCLTパネルの製品仕様や品質管理方法は、直交集成板の日本農林規格(以下「CLT JAS」という。)の基準に適合するものである。

ウ 当該技術を活用し、協力機関の建材工場がCLT JAS認証を取得(R5.8月)したため、当該工場において製造される製品は建築基準法第37条の「建築材料の品質」に適合するものである。

エ さらに同社が指定性能評価機関から「木造軸組構法の床構面及び屋根構面の構造耐力性能評価」(短期許容せん断耐力及び床倍率の評定)を取得(R5.11月)したことから、当該工場において製造されるJAS製品はその構造性能も明らかなものである。

オ これらにより、品質が担保され設計強度が明らかな柾目板パネルとして活用できる。

 

期待する効果 

 

 建築物の発注者や設計者、工務店等に対し、設計強度の明らかな建築材料としてはもちろん、柾目板の美しさを活かした建具や内装材としても利用可能で、県産木材による木造・木質化に幅広く活用できる製品として提案できる。