開発技術名

「太陽熱を利用した木材乾燥」

 

技術開発の経緯

 地域産材を利用する製材業は零細であり、寸法安定性が担保された製材品を生産するための乾燥設備を導入することが困難な状況にあることから、低コストで木材を乾燥させる技術が求められていた。

 

開発技術の内容

ア 太陽熱を集熱するにあたり、家庭用の安価な温水パネルを利用する。
イ 乾燥室としてログハウスを使用し、この中でファンによる対流による熱交換によって乾燥を促進する。
ウ 必要に応じて換気を行う。
 以上により、木材の天然乾燥に要する時間を短縮し、簡易かつ低コストで乾燥することができる。

 

期待する効果

①乾燥機の性能(冬場に30度以上の温度が確保される)
 当初期待した温度は得られなかったが、ポンプ等の運転の電気代だけで天然乾燥と比べると期間が2~5割程度短縮されるなど乾燥性能面での効果が認められた。
②乾燥機の低コスト化
 100万円程度での設置が可能であり、目標の導入コスト(従来の人工乾燥機約1千万円に対して1/5程度の200万円)よりも安価なものとなった。
③従来の人工乾燥機よりマイルドな条件での乾燥による加工品質の確保
 スギ材は人工乾燥(中~高温)と比較して辺材の明度(L*値)、心材の赤色度(a*値)ともに有意な低下も見られず、天然乾燥と遜色のない良質な仕上がりであった。また、乾燥が難しいとされているコナラ材についても反り、幅反り,ねじれが少なく、良質な仕上がりとなった。→天然乾燥の期間を短縮しつつ、仕上がりは損なわないという特徴があり、内装材、特に広葉樹材の乾燥には有効であると考えられた。

 

連絡先

 森林林業技術センター木材活用部 0790-62-2118 (作成者:石坂知行)