開発技術名
「粘着シートを用いたカシノナガキクイムシ成虫捕獲法の開発」
技術開発の経緯
県北部から南部にかけてナラ類集団枯損(以下、ナラ枯れ)が蔓延している。被害防除法としては、ナラ枯れ被害を伝搬するカシノナガキクイムシ(以下、カシナガ)成虫を駆除する方法が開発されてきた。しかし、これまでの方法は多大な労力とコストがかかるため、簡易で効果のある方法の開発が求められている。
アース製薬株式会社は平成22年に粘着シートを用いた商品「かしながホイホイ」を開発した。これを利用したカシナガ駆除技術を検討した。
開発技術の内容
本来、カシナガのモニタリング用に開発された「かしながホイホイ」であった(粘着面を外側に向けて樹幹に巻き付ける)が、前年度枯損した被害木を対象に地際から約2mの高さまで粘着面を内側にして「かしながホイホイ」を貼り付け、翌年6月以降に脱出するカシナガ成虫を粘着面で捕獲する試験を実施した。その結果、「かしながホイホイ」を貼り付けた部分から脱出するカシナガ成虫のうち約7割の頭数が捕獲された。
期待する効果
ナラ枯れ被害はカシナガが高密度で生息し、健全木に集中的に穿孔することで発生するため、この技術はカシナガ頭数密度を減少させる技術として効果が期待できる。また、この方法は「かしながホイホイ」を被害木に巻き付けるという作業で済むので、誰にでもできる安全な技術である。
連絡先
森林林業技術センター森林活用部 0790-62-2118 (作成者:塩見晋一)