開発技術名

 

 コナラ伐採後の根系の土壌補強強度低下に伴う災害リスクの評価方法

 

技術開発の経緯 

 

 災害に強い森づくり事業の一つである里山防災林整備において、人家裏山の里山林に存在する倒木の危険性がある高木の伐採が行われている。里山林を構成する樹種の多くは、伐採後に萌芽再生(伐採後に根株から新しい芽が発生すること)するため、根株の土壌補強強度(土壌緊縛力)は、大きくは低下しないとされてきた。

 当センターでは、R2の開発技術「里山林の代表樹種であるコナラの伐採・萌芽更新による土壌緊縛力の変化」において、伐採後のコナラ根株の土壌補強強度(土壌緊縛力)が3年間低下することを明らかにしたが、一方で、いつまで低下し続けるのか、どの程度低下するかはよくわかっていなかった。

開発技術の内容

 

ア 萌芽再生後8年目のコナラ根は、枯死根と生存根が混在しており、生存根のみの引き抜き抵抗力は、伐採前の引き抜き抵抗力と大きく変わらないが、枯死根の引き抜き抵抗力は大幅に低下する。

イ 萌芽再生個体の根による土壌補強強度(単位面積当たり)は、5-8年程度で最も弱くなる。その低下の状況を、根による土壌補強強度(単位面積当たり)の相対値(萌芽再生個体の土壌補強強度/伐採前の土壌補強強度)として示すと、伐採再生後5-8年目の根による土壌補強強度は伐採前と比較して10-20%程度になる。

ウ 萌芽再生せずに枯死した根株の根による土壌補強強度は、枯死後3年目よりも枯死後8年目はさらに低下し、伐採前と比較して2%程度となる。

期待する効果 

 

 高木広葉樹伐採後の根系の土壌補強強度低下の程度と、それに伴う災害の危険性が高い期間を明らかにすることで、土壌補強強度の低下を補う技術の開発や住民への注意喚起につなげることが可能になる。