開発技術名

 「土砂災害に備えるための渓畔林構成樹種としてケヤキを選定」

 

技術開発の経緯

 近年、ゲリラ豪雨に伴い山地渓流で土石流が増加し、周辺の立木を巻き込み大きな被害となっている。一方で、渓流の下部ではスギや広葉樹が流下してきた土石や流木を止め、被害を減じている現象も確認されている。これらのことから、渓流下部に災害緩衝林を整備することで、山地災害を減じることが可能である。スギに関しては、間伐により根系成長が促進され、災害緩衝能力が向上することがすでにわかっている(H25年開発技術)。しかし、樹高成長や胸高直径成長が見込めない箇所では、今後の災害緩衝能力の向上を図るために、スギからの改植を検討する必要がある。そこで、山地渓流で持続的に生育している樹種について引き倒し抵抗力を測定し、災害緩衝能力をさらに高めることが可能な広葉樹種を選定した。

 

開発技術の内容

ア 県内の山地渓流に分布する高木種かつ持続的に生育できる樹種のうち、多くの箇所でみられるのはケヤキである。
イ ケヤキの災害緩衝能力は、山地渓流に多く植栽されているスギと比較すると、同じ胸高直径であれば4倍程度、樹高を加味した材積であれば6倍程度高い。
ウ 以上の理由から、より強い災害緩衝林を改植によって整備するためには、改植候補木としてケヤキを推奨する。

 

期待する効果

 県内渓流に流木や土石を捕捉する能力の高い災害緩衝林が整備され、流木災害を長期にわたって減じることが期待できる。

 

連絡先

 森林林業技術センター森林活用部 0790-62-2118 (作成者:藤堂千景)