開発技術名

「里山林の代表樹種であるコナラの伐採・萌芽更新による土壌緊縛力の変化」

 

技術開発の経緯

 樹木の崩壊防止力を示す根系の土壌緊縛力は、樹木が伐採されることで低下するが、伐採されても根株から新しい芽が発生し成長を続けること(萌芽再生)で、根系の土壌緊縛力が増加すると考えられている。しかし、根系の土壌緊縛力の低下期間および増加に転じる期間はよくわかっていない。

 

開発技術の内容

 ア 萌芽再生12年目のコナラの引き抜き抵抗力は、伐採前の引き抜き抵抗力と比較すると若干低下するものの、単位面積当たりの土壌緊縛力は伐採前の緊縛

  力に比べて大きな低下はない。

 イ 樹木根系の土壌緊縛力を盛り込んだ斜面安定計算式を使用し、コナラ根系の斜面安定効果を試算すると、伐採後3年を経過した斜面の安定度は、伐採直後と

  比べ7-8%減少し、特に根株が枯死した場合は約20%減少する。

 ウ 根株からの新しい芽が成長していても、必ずしも樹木根が順調に成長しているとは限らない。

 

期待する効果

 広葉樹林伐採後の根系の土壌緊縛力低下に伴う災害のリスクを評価する情報として利用できる。

 

連絡先

 森林林業技術センター 森林活用部 0790-62-2118 (作成者:藤堂 千景)