開発技術名
「温暖化に対応したワカメ種苗生産技術」
技術開発の経緯
本県のワカメ生産は全国第4位であるが、ワカメ種苗のほとんどは県外産に依存している。しかし近年、温暖化等の影響によりワカメ種苗の確保が困難になっており、ワカメ生産者にとって深刻な問題になっている。
開発技術の内容
従来から知られているフリー配偶体を用いた種苗生産技術に改良を加えることにより、養殖現場でも気候変動の影響を受けにくい種苗生産技術を考案した。
ア 瀬戸内海地域ではこれまでワカメの種苗生産の大半は野外水槽で行われてきたが、室内にエアコンと蛍光灯を取り付け、水温と光条件を制御した室内培養による種苗生産を行う。
イ ワカメの配偶体は基質に着生しにくいが、水槽で種苗生産する前に、平容器でしばらく培養することにより、簡便かつ効率的に配偶体をタネ糸に散布・着生させることが可能になる。
ウ 大型水槽の培養では、海水に次亜塩素酸ソーダを加え殺菌し、チオ硫酸ナトリウムで中和させた海水を用いることにより、簡便かつ大量に大型水槽用培養海水の作成ができる。
エ 従来までの仮沖出しでは、海に垂下した後、ほとんど手を加えることがなかったが、タネ糸の泥落としなどの養殖管理を行う。
以上、本手法は従来に比べて簡便かつ効率的に種苗の量産化が行え、温暖化にも対応した実用的な種苗生産技術として活用できる。
期待する効果
本手法はワカメ生産者にも普及できる実用的な手法であり、今後、ワカメの種苗確保や安定生産に大いに役立つものと期待される。
連絡先
水産技術センター水産増殖部 078-941-8601 (作成者:二羽 恭介)