開発技術名

「二枚貝稚貝の粗放的、低コスト大量生産技術と養殖技術」

 

技術開発の経緯

 アサリの垂下養殖は他県産の種苗に依存している。このため、種苗供給量の変動、種苗価格の高騰、病原体感染個体の搬入の危険性などの問題が顕在化し、兵庫県産養殖用種苗供給が必要となっている。

 

開発技術の内容

ア 粗放的珪藻培養技術の解明
 ひょうご豊かな海づくり協会でのアサリ種苗生産では餌料プランクトン(珪藻)の培養を大型水槽に濾過海水を連続注水し施肥なしで行っているが、砂濾過海水中に多く含まれる珪酸塩と硝酸態窒素とを珪藻が利用することで成り立っていることを解明した。また、当センターでは培養水槽の容量1kLに対して、夏季は0.6~0.9kL/日、冬季は0.2kL/日のろ過海水を連続注水しつつ、珪酸塩を添加することなく液体肥料を夏季・冬季ともに1~2mL/日ずつ連続して添加を行うことで高濃度培養連続培養を可能とした。
イ 小型種苗配布を可能とした中間育成段階を含めた垂下式養殖技術
 殻長8mmから20mm程度までの陸上水槽で行っていた中間育成段階を含めて海面で養殖を実施するため、殻長8mmの稚貝を4mm目の袋ネットに入れ、目の粗い網カゴに粒径20mm以下の基質とともに収容し海中に垂下する。

 

期待する効果

ア アサリの餌料である植物プランクトン(珪藻)を粗放的に低コストで大量連続培養し給餌することで安価な種苗の生産が期待できる。
イ 中間育成段階を含めた垂下式養殖技術を用いることで、陸上水槽で育成すべきサイズが従来の20mmから10mm以下(5~8mm)に小型化したことで、養殖用種苗の飛躍的な大量生産が可能となり、供給する種苗の大幅なコスト削減が期待できる。養殖業者は従前より1ヶ月以上早い6月から養殖を開始する必要があるが、収穫までの成長も従来と遜色なく、養殖用種苗を他県から購入した場合(¥650/kg)に比べ、今回開発した技術では資材、人件費を含めても種苗代相当額が¥466/kgとなり、大幅な種苗代の削減が見込まれる。
ウ 兵庫県の種苗を安定的に確保することで、安全安心な兵庫県産養殖アサリとしてブランド化を図ることができる。

 

連絡先

 水産技術センター水産増殖部 078-941-8601 (作成者:安信秀樹)