開発技術名

「天然採苗による養殖カキシングルシード生産技術」

 

技術開発の経緯

 本県の養殖カキは吊線式養殖の剥き身出荷が主流であるが、徐々にカゴ養殖の殻付き出荷が増加している。カゴ養殖に必要なシングルシードは高価(10~15円/個)であり、県内で多くの漁業者が参入可能なカゴ養殖の導入を推進するためには、コストダウンが必須である。このため、漁業者自らが行うことのできる、天然採苗による安価なシングルシード生産技術の開発を行った。

 

開発技術の内容

ア 天然採苗において、稚貝の付着基質として、ホタテガイの代わりにペットボトルを加工した採苗器やクペル(MULOT社製)を用い、1~2cmまで成長した稚貝を基質から剥がすという方法によって、極めて簡単にシングルシードを得ることができる。
(従来、シングルシードを生産するためには、人工採苗によって得た浮遊幼生を粉砕したカキ殻等に着底させ、給餌しながら陸上水槽で育成するのが一般的であった)
イ この方法で生産したシングルシードを用い、カキ養殖バスケット(SEAPA 社600シリーズ)で養殖することにより、吊線式養殖と比較して殻幅の大きなカキを育成することができる。

 

期待する効果

 天然採苗によって漁業者自らがシングルシードを生産できるようになると、種苗費が1/10以下に削減されるため、カゴ養殖の普及が見込まれる。また、新たにカキ養殖を起業する場合でも養殖筏や収獲専用船、剥き身加工施設等の初期投資が軽減され、参入しやすくなることが期待される。

 

連絡先

 水産技術センター水産増殖部 078-941-8601 (作成者:谷田圭亮)