開発技術名

「飽和食塩水を用いた凍結技術」

 

技術開発の経緯

 一時的に多量に漁獲される水産物や各地域で年間を通じて少量ずつ漁獲される水産物を刺身用などの加工原料として安定供給する場合、冷凍保存することが多い。しかし、水産物は凍結時及び冷凍保管時に、著しく品質が低下するものが多く、それらの品質向上が必要とされていた。このため各漁協や加工業者、行政機関から、県産水産物の凍結・冷凍保蔵技術の開発要望が出されていた。
 凍結による品質低下を防ぐには鮮度の高いものを急速に凍らせる必要がある。急速凍結が可能な装置は市販されているが、高価である。そこで、既存の凍結装置を活用して安全かつ安価に高鮮度を保って凍結ができるよう、飽和食塩水を用いて生きた状態の漁獲物を急速凍結できる技術を開発した。

 

開発技術の内容

ア 飽和食塩水(食塩濃度26%以上)は-20℃に冷却しても液体の状態であることを確認し、この性質を利用して急速凍結する方法を開発した。
イ クロザコエビは生きた状態のものを飽和食塩水に直接浸漬して凍結できる。この方法では従来の方法より凍結速度が速く、むき身の硬さも向上する。一方で、むき身への塩分の浸透は少なく、刺身用として利用が可能である。
ウ 活アカガレイは厚みが薄いため、予冷しておいた飽和食塩水入りの水枕を接触させる方法で急速に凍結できる。この方法では、塩分の浸透を防ぐとともに、従来の凍結方法より食感・透明感が向上し、船上で刺身用として凍結することが可能である。

 

期待する効果

 この技術を活用することにより、既存の施設を用いて安全かつ安価に高鮮度の刺身用水産物として凍結できるため、漁獲時期が限られるクロザコエビやアカガレイを地元民宿等飲食店に対して安定的に供給することが可能となる。また、飽和食塩水を用いた凍結技術は他の水産物にも応用可能な技術であり、さらなる技術の普及が期待される。

 

連絡先

 但馬水産技術センター 0796-36-0395