開発技術名

「兵庫県産焼きのりの緑色向上・保持技術」

 

技術開発の経緯

○要望提案:2009/7月上旬
 週に5,000本近くの巻き寿司を販売している「マイスター工房八千代(多可郡多可町八千代区中村)」の代表が「兵庫のりを使いたいが、我々が求めている品質のノリがなく、現在は愛知産他県外のノリを使っている。」との情報が北播磨県民局から県庁水産課へ寄せられた。
 県漁連、加東農林、加西普及センター、水産課がマイスター工房八千代を訪問し、聞き取りをした焼きノリの条件等は次のとおりであった。
 巻き上げた際に鮮やかな緑色をしており、長時間(土産で持ち帰って夕食時に食べるまで)その状態が保てること。(一般の巻き寿司の海苔は黒色)
これを受けて、県庁水産課、県漁連から技術センターにマイスター工房八千代が希望するような焼き海苔の加工方法について相談があった。
○課題化:7月下旬
 県庁水産課と協議し、マイスター工房八千代で使える焼き海苔の加工技術の開発試験を行うことを決定し、県漁連に試験用の原料板のり(焼く前のもの)を手配。
○研究取組:8月初旬
 県漁連から入手した産地の異なる5種類の板のりについて、それぞれ焼き温度、焼き時間を変えて10種類の加工条件を検討し、愛知産焼き海苔と品質を比較した。
 その結果、4種類について、愛知産焼き海苔より焼き色(緑色)の良い(L*a*b*値、目視官能検査とも)焼き条件を見いだした。
 県漁連が生産・販売している焼き海苔1種類、新しい焼き条件で加工した焼き海苔5種類で酢飯を巻いて12時間保存後の緑色を確認。
 その結果、新しい焼き条件で加工した焼き海苔3種類が12時間後まで緑色を保持できた。

 

開発技術の内容

 緑色色素の多い産地の海苔を選定する加熱条件。
 熱に弱い赤色色素を分解し、熱に強い緑色色素を残すことで、酢飯による低pH条件下でも12時間以上緑色を保持出来る“焼き加工条件(加熱温度×加熱時間)”。
 具体的な加工条件(海苔の種類、焼き温度、時間等)については、産業保護(緑色の巻寿しはマイスター工房の特徴であること、兵庫ノリの販売促進など)の観点から公表を控えている。

 

期待する効果

 県漁連に試験結果を報告、漁連の焼き機で試作するポイントを説明し、焼き海苔を試作。
 県漁連が試作した焼き海苔5種類を持ってマイスター工房八千代を訪問。
 焼き色について、マイスター工房の代表は2種類を高く評価。
 マイスター工房八千代の巻き寿司で確認試験を実施し利用可能であることが確認された。

 

連絡先

 但馬水産技術センター 0796-36-0395