開発技術名

「高泌乳牛の第一胃内環境を最適化する分離給与法での給餌方法」

 

技術開発の経緯

 改良による高泌乳化で増大した乳牛の養分要求量を充足するため、飼料給与量と濃厚飼料割合の増加が図られている。しかし、そのことで第一胃内環境の酸性化(潜在性ルーメンアシドーシス)を招き、それに伴う種々の生産病による生産性阻害で乳牛の生涯生産性は低迷している。そのため、第一胃内環境を安定させ、生産病を防止しつつ、高泌乳牛の養分要求量を充足できる飼料給与技術が求められている。
 最近、国内で第一胃内に留置し、長期間pHを測定・記録できる無線式ルーメンpHセンサーが開発され、これまで不可能であった第一胃内環境の連続モニタリングが可能となったことから、本センサーを用いて、第一胃内環境を最適化する分離給与法での給餌方法を検討した。

 

開発技術の内容

ア 最初に給与する粗飼料の影響
 イネ科乾草、サイレージ、マメ科乾草のいずれかを最初に給与し、ルーメン液pHの変動を比較した結果、イネ科乾草を最初に給与した場合が最もルーメン液pHの変動が小さくなる。
イ 粗飼料給与から濃厚飼料給与までの時間間隔の影響
 イネ科乾草を給与後30分、60分、90分後に濃厚飼料を給与し、ルーメン液pHの変動を比較した結果、30分後に給与した場合が最もルーメン液pHの変動が小さくなる。
ウ 以上のことから、分離給与ではイネ科乾草を最初に給与し、その30分後に濃厚飼料をすることで第一胃内環境を最適化できる。

 

期待する効果

 高泌乳牛の生産病罹患率を20%程度低減、生乳生産量を10%程度向上できる。

 

連絡先

 淡路農業技術センター畜産部 0799-42-4880 (作成者:生田健太郎)