開発技術名
「乳成分分析装置の赤外線スペクトル解析による血中の遊離脂肪酸とケトン体の推定」
技術開発の経緯
乳牛は分娩後に急増する乳量に飼料摂取量が追いつかないため、エネルギー不足となり、体脂肪が動員される。体脂肪の代謝過程で血液中に遊離脂肪酸(NEFA)とケトン体(BHB)という物質が増加するので、これらはエネルギー不足の重要な指標であるが、血液成分であるため酪農家自身で必要な時に検査することは困難である。そこで、酪農家が容易に採材できる乳汁から血液中のNEFAとBHBを推定する技術を開発した。
318検体の乳汁を用いて、乳成分分析装置で赤外線スペクトルデータを取得するとともに、乳汁採材日に採血し、血液中のNEFAとBHBを分析(実測値)した。これらのデータセットからフルクロスバリデーション法にて検量線を作成した。
開発技術の内容
作成したNEFAの検量線による推定精度は良好で、推定値と実測値との平均的な誤差は0.07mEq/Lで、乳汁からの推定が可能である。一方、BHBの検量線による推定精度は定量には不十分であるが、高低を定性的に把握することは可能である。
期待する効果
飼養管理の改善、周産期疾病の予防により生乳生産を10%増産する。
連絡先
淡路農業技術センター畜産部 0799-42-4880 (作成者:生田 健太郎)