開発技術名

「但馬牛における牛肉の「小ザシ」及び「脂肪の質」を基にした種雄牛選抜手法」

 

技術開発の経緯

 兵庫県では産肉能力の育種価を用いて種雄牛選抜を実施してきた結果、産肉能力の一つである脂肪交雑の改良は順調に進んでいる。その一方、サシが粗くなったと言われるようになり、但馬牛本来のキメ細かな「小ザシ」を評価できる新たな指標の確立が望まれる。また、近年の研究により、脂肪に含まれる「モノ不飽和脂肪酸(MUFA)」が口溶けに影響し、牛肉の美味しさに関係していることが示唆され注目を浴びている。そこで、本試験では画像解析形質とMUFA割合から遺伝的パラメータを推定し、今後の但馬牛における「小ザシ」及び「脂肪の質」改良の可能性について検討する。

 

開発技術の内容

 兵庫県内の枝肉市場に出荷された但馬牛6,546頭分のロース芯横断面画像を専用の解析ソフト(Beef Analyzer Ⅱ)で解析し、解析形質の遺伝的パラメータを推定したところ、「小ザシ」の評価指標として算出した細かさ指数で中程度(0.38)の遺伝率が確認されたことから、細かさ指数は種雄牛選抜に利用可能である。
 また、但馬牛の枝肉ロース芯サンプルから分析した1,836頭分のMUFA割合についても、画像解析形質と同様に遺伝的パラメータの推定を行い、細かさ指数と同程度の遺伝率(0.43)を確認したことから、MUFA割合を用いて「脂肪の質」の改良は可能である。

 

期待する効果

 種雄牛選抜手法に活用し、「但馬牛」「神戸ビーフ」のブランド強化を図る。

 

連絡先

 北部農業技術センター畜産部  079-674-1230 (作成者:小浜菜美子)