開発技術名

「牛の脂肪壊死症予防技術」

 

技術開発の経緯

 脂肪壊死症は過度に蓄積された腹腔内の脂肪が壊死的変化を起こし腸管を狭窄あるいは閉塞する病気で、牛は食欲不振、便秘、下痢、血便などの症状を示し著しく削痩する。但馬牛の死廃事故で脂肪壊死症によるものが例年、繁殖雌牛で約30%、肥育牛で約15%を占めており、脂肪壊死症による経済的損失は甚大である。これまでの調査で脂肪壊死症の発生には遺伝的要因、育成期の過肥が関与していることが分かったが、効果的な予防方法は確立されていない。一部の生産者の間では粘土を牛に与えると脂肪壊死症が少なくなると言われていた。

 

開発技術の内容

 但馬牛去勢牛にケイ酸が主成分である黄土粘土(淡路島産)50g/頭/日を飼料に添加して11~30か月齢時に与えた結果、脂肪壊死症の臨床症状(長期食欲不振、下痢、血便等)は見られず、対照区に比べ腹腔内の脂肪壊死塊が少なく小さかった。枝肉形質では、枝肉重量、ロース芯面積及び脂肪交雑に差はなかったことから、黄土粘土を肥育牛に与えると脂肪壊死症を予防でき、枝肉形質に悪影響を及ぼさないことも分かった。また、黄土粘土投与で発熱、下痢、第一胃機能障害、肝機能障害及び尿石症が少なったことから、脂肪壊死症以外の疾病でも応用できる可能性が示唆された。

 

期待する効果

 継続的に黄土粘土を牛に与えることによって脂肪壊死症が予防でき、脂肪壊死症の発症は著しく減少することが期待できる。

 

連絡先

 畜産技術センター家畜部 0790-47-2430