開発技術名

「眼底画像診断によるビタミンA欠乏状態診断法の開発」

 

技術開発の経緯

 高品質の牛肉生産における肥育牛のビタミンAコントロール技術が普及している。しかし、行き過ぎた管理によりビタミンA欠乏症を発症する事例も散見され、ビタミンA欠乏症を回避する管理方法の確立が必要であるが、同時に欠乏症の早期診断技術の開発が望まれている。
 そこで、但馬牛肥育牛において自作の眼底カメラを用いて血中ビタミンA濃度による眼底の特徴を判断する基準を作成することとした。

 

開発技術の内容

 視神経乳頭浮腫は可逆的な変化であることから、早期の対応により快復するので、一般的には食欲低下、眼球突出や四肢の浮腫などの日常の観察と適切な対応が重要である。
 客観的な診断基準を作成するため、市販ビデオカメラに照明を装着した自作の眼底カメラで観察すると、ビタミンAの欠乏状況により以下の3段階に診断できる。
ア ビタミンA欠乏初期に眼底の視神経乳頭周辺血管に沿った浮腫が観察される。
イ さらに欠乏が進行すると視神経乳頭全体が浮腫により大きくなり境界が不明瞭となる。
ウ 最終的には、視神経乳頭部の境界が判断できなくなり、血管が蛇行し、眼底全体が水腫様になって乳白色を帯びる。このような状態になるとビタミンAを給与しても快復しない。

 

期待する効果

 肥育中期の18か月齢以降にマニュアルに従って継続して観察することで、ビタミンA欠乏症を早期診断できるので、初期の欠乏症である上記ア、イと判定された場合においては、ビタミンAを適切に給与すると欠乏症の快復が期待できる。

 

連絡先

 北部農業技術センター畜産部  079-674-1230 (作成者:福島護之)