開発技術名
多収で病害に強い丹波黒新品種「兵系黒6号」の育成
技術開発の経緯
近年の温暖化や気象変動等の影響により、兵庫県の丹波黒優良3系統(「兵系黒3号」「川北」「波部黒」)において、収量や品質の低下が報告される事例があり、その対策が急務となっている。一方、丹波地域では多種多様な特性を持った約80種類に及ぶ黒大豆在来系統が確認されている。そこで、平成24年度から丹波農業改良普及センター、丹波篠山市、JA丹波ささやまの協力のもと、丹波黒在来系統を収集し、収量・品質、病害抵抗性の観点から有望系統を選抜・育成した。
開発技術の内容
ア 収集した55系統の中から、病害抵抗性、収量・品質の観点から、「波部黒 (大山地区)」を起源とする1系統「FC27」を選抜し、特性を調査した。
イ 「FC27」は茎疫病圃場抵抗性〔発病率2%、比)「兵系黒3号(13%)」〕ダイズモザイクウイルス(SMV)圃場抵抗性〔発病率2%、比)「兵系黒3号(57%)」〕を有し、莢付が「兵系黒3号」と比べ35%多い(122莢/個)。
ウ 「FC27」の成熟期は「兵系黒3号」よりも11 日早熟である。
エ 「FC27」の百粒重は69.5g程度で、「兵系黒3号」(78.8g)よりやや小さいものの、2L率以上の割合は80%と高い(「兵系黒3号」88%)。収量性は「兵系黒3号」よりも高い(151%)。
オ 「FC27」を「兵系黒6号」と命名し、丹波篠山市、JA丹波ささやまと品種登 録共同出 願契約書を締結し、出願した(令和5年3月)。
期待する効果
「兵系黒6号」は、気候変動に強く、病害抵抗性、収量性も良好であるため、丹波黒生産農家の収入の増加が期待できる。