開発技術名

 水稲の高温登熟耐性に関するDNAマーカーの開発

技術開発の経緯 

 近年、気候変動に伴い水稲の高温登熟障害が深刻化しており、高温登熟耐性(以下、耐性という。)に優れた品種育成が求められている。耐性に優れた品種育成をより効率的に進めるには、耐性に関与するDNAマーカーの開発が必要である。

開発技術の内容

ア 「ふさおとめ(耐性:強)」と「初星(耐性:弱)」を交配して得た雑種集団(F2およびF577系統を用いて、環境制御型温室(日平均気温2829度に設定)を用いた高温耐性検定を行い、玄米品質の調査を行った結果、、整粒率および腹白、背白粒、基白粒率に関して正規分布が認められる。

イ 同雑種集団のDNA解析を行い、上記の玄米品質データと統合し、高温耐性に関するDNAマーカー解析を行った結果、第1染色体、第8染色体上に、整粒率、腹白、背白粒率、基白粒率に強く関連する2つの遺伝子領域(QTL)を検出し、近傍のDNAマーカーとする。

ウ 開発した2つのDNAマーカーにより、栽培試験を経ずに耐性を持つ系統を高精度に選抜できる。

QTL:量的形質遺伝子座(1つの遺伝子で決まらない形質(量的な形質))に関係する遺伝子の場所)

 

期待する効果 

 耐性に優れた品種の効率的育成に活用できる。